【14】初夏のアイスキャンデー

 

工事が行われていた2022年の初夏は、少し変わった天候でした。梅雨が明けた頃、まだ7月というのにも関わらず、急な猛暑日が続いたのです。梅雨も雨が多くは降らなかったので、突然にカラカラした夏がやってきた感じでした。

あまりにも急に暑くなったので、大工さんの体調が気になりました。作業はすべて屋外で行われますし、朝から夕方まで体力仕事だからです。いくら外仕事に慣れているからと言っても、急激な変化に体が慣れるまで時間がかかるような異常気象に思えました。

自分に何かできることはないか?と考えて、自宅近くのコンビニに行くことにしました。冷たい飲み物とアイスを買おうと思ったのです。

 

 

コンビニで迷った挙句、麦茶、スポーツドリンク、そして「アイスの実」を購入しました。普段、私も夫もたまに食べる「井村屋のあずきバー」を除いてアイスを食べないので、冷凍庫にはストックもありません。コンビニのアイスコーナーにはたくさんの種類のアイスが並んでいました。

どれにしようかな……と検討している時に目に入ったのが「アイスの実」でした。その時知ったのですが、原材料には果汁が多く使われていて、アイスの中では健康志向の商品なのですね。

「よかったら急に暑くなったので、召し上がって下さい」

大工さんはお昼休憩を抜かして一日二回の休憩があるようでした。午前中に一回、午後のおやつ時にもう一回です。飲み物とアイスは午前中の休憩のときにお渡ししました。

「アイスが苦手だったらどうしよう」と悩んだりもしましたが、普段から大工さんたちは全体的に甘いものを好んで食べていたので、賭けてみることにしました。え?甘いもの食べるの?と思われるかもしれませんが、そうなのです、大工さんたちは意外と甘党だったのです。

実は今回の件以外でも、小さな箱に詰めて飲み物とお菓子は毎日お出ししていました。その中で人気があったのが、煎餅のようなしょっぱい系よりも、クッキーのような甘い系だったのです。

カントリーマアム、源氏パイ、ビスコ、歌舞伎揚げ、など皆がよく知っているお菓子を購入していた日々でした。たまに実家に帰ったときに購入する鎌倉銘菓の「鳩サブレー」もすぐに食べてくれていました。しょっぱい系代表の江ノ島名物「たこせんべい」はあまり人気がありませんでした。笑

 

 

大工さんとコミュニケーションを取りながら過ごす毎日は、とても楽しい時間でした。いつも蔵には大工さんが居てくれて、作業がどんどん進んでいって、たまに休憩のときに長話して――。貴重な思い出です。

家づくりは時間がかかるので、大工さんと依頼主で家族のような関係になることは多いそうです。確かに毎日顔を合わせていたら、そんなふうになってもおかしくないですね。その分、お別れのときは寂しくなってしまいますが。

 

 

大工さんがよく休憩していた玄関