7月に入ってすぐ、わりと大きな出来事がありました。
工事が始まってからその日まで、建物内の階段を使って二階に行くことができずにいたのですが、遂に登ることができるようになったのです。もちろん屋外の足場から二階を眺められている時期もあったのですが、石膏ボードで壁が覆われてからしばらくはご無沙汰していました。
階段が出来上がってから「登ってみてもいいですよ」と大工さんから許可が出たのです。とても嬉しくわくわくしました。なにせ久しぶりの二階です。
二階へ行くと、想像していた以上の空間がありました。わーっと静かに、でも強く声を出してしまうような感動がありました。
最初に目に入ったのは夫と一緒に一生懸命に選んだステンドグラス窓でした。これまでは単品の状態でしか見ていなかったので、実際に窓に埋め込まれた姿を見るのはこの時が初めてだったのです。
太陽の光を上品に取り込んで、ステンドグラスってなんて美しいのだろうと感じました。ヨーロッパ諸国の教会に、この芸術品が数多く用いられている理由が分かった気になるほどでした。神聖で独特な光り方をするのですね。ガラスの世界に魅せられた瞬間です。
そして次に目に入ったのは、天井の梁でした。新しい壁(石膏ボード)に囲まれた梁を真下から見上げるのは久しぶりです。何本も密に連なる梁は、圧倒的な存在感がありました。大工さんも「この蔵は二階がいいのよ~」と、二階を特に気に入ってくれていました。
梁は全部で5本連なっていますが、このように密な状態は珍しいそうです。大工さんによると、もう少し間隔を持たせて設計するのが一般的なのだとか。ではなぜわざわざ密にしたのか、当時の思考が気になりますよね。
その疑問をお訊ねしてみると、一つは「耐震面でのメリット」があるそうです。確かにこの蔵は東日本大震災を経験しているものの、大きな崩れはありませんでした。土地柄、茨城県は地震の回数が多いですが、それも乗り越えている様子です。
もう一つは「職人の見栄」だそうです。こんなに密に木を組み合わせられる技術力ってばすごいだろう、という気持ちの表れだとか。梁の組み方にそんなメッセージがあるとは驚きました。
大工さんが二階を好きなように、私たちも二階のことが大好きになりました。
まだ途中でしたが、床板も徐々にはめ込まれていっている最中でした。二階の床板は、栗の無垢材です。落ち着いた色合いに、ややノスタルジックな趣をたたえています。
「家づくり」について語れるほど経験値はありませんが、各要素がどれだけ融合できるか?にかかっている部分は大きいのではないかと感じています。
今回で言えば、ステンドグラス、梁、栗の床板、全部が相まって二階です。その他にも今後は照明や家具も含まれていきます。各要素を好き勝手に決めることは簡単です。ですが、すべてをマッチさせるとしたらどうしたらいいか?といった、全体のイメージをトータルで考えることの大切さがわかったような気がしました。